おはようございます。

『家づくりをお考えの方へ』

日本人は昔から木の家に暮らしてきました。

古民家などの木造住宅を形作る骨組みには木材が使われています。

これは日本は森林帯国で豊富な森林資源があるからと共に加工性に

優れ耐久性の高い木材が採用されたためで、木材は他の骨組みに

使われる鉄やコンクリートなどの工業製品とは違う性質を持つ自然素材で、

乾燥の方法などによっても性能に差が出て来やすく、古民家を元に考えるなら

地元で成長した木材をゆっくりと自然乾燥させたものが耐久性は高くなります。

木材の性質を説明すると、組織は、中心部の樹心=心材部と周辺部の

辺材部と樹皮に分かれます。

建物等に使用するには乾燥させて使用します。

ただちに荷重を受ける場合、平均含水率は20%以下とします。

日本農林規格(JAS)において公共の建築物の建築工事に使用する材料の

含水率基準が決められています。

含水状態の区分は4段階で区分されており、

飽和含水状態

含水率30%以上。細胞腔には自由水、細胞膜には結合水が満たされた状態

繊維飽和点

含水率約30%、細胞腔には水がなく、細胞膜は飽水の状態

気乾状態

含水率13〜17%、細胞膜に大気中で乾燥しない若干の水を残した状態

絶乾状態

含水率0%、細胞腔・細胞膜ともに水はない

木材の伸縮については、樹幹(繊維)方向の伸縮が最も小さく最大0.1〜0.3%、

年輪の半径方向(まさ目)は樹幹方向の5〜10倍、年輪の円周方向(板目)は

樹幹方向の10〜20倍となります。

木材の強度は、

許容応力度の大小関係は、曲げ>圧縮>引張>せん断

せん断強度は圧縮強度の約1/10

短期許容応力度は長期許容応力度に対する値の約2倍

許容応力度は一般に針葉樹よりも広葉樹の方が大きい

繊維方向のヤング係数は鋼材のおよそ1/20という特徴があります。

木材の欠点は、

節、丸身、繊維の傾斜(目切れなど)などで、

このうち節による影響が最も大きい。

上記以外の欠点には、割れ、曲がり、ねじれ、入皮(材中に樹皮が入りこんだもの)、

あて(色が濃く繊維素が少ない異常生長部分をいう)、かなすじ

(材中に鉱物性結晶が沈積したもの)などがある。

また、木材は荷重が長期間存続すると、クリープ変形をおこす。

燃焼については、木材はセルロースやリグニンなどで構成されているが

200℃付近迄温度が上昇すると熱分解を開始し、260℃を超えると熱分解の

速度が急速に高まる。この260℃が木材に取っては火災危険温度とされる。

木材は燃焼時に炭化層を形成するが、この炭化層は断熱層となり

燃焼速度を緩和する働きがある。木材自体は可燃物であるが

この炭化層の働きにより燃焼時の発熱量はプラスチックなどの

工業製品に比べて小さくなる。

木の重さの測り方は、

体積×比重(あるいは密度)で測ります。

木材の比重は含水率によって変化しますが、一般的には15%の含水率時の

比重を使い計算されます。

杉は0.38、

ケヤキは0.62という数字が使われてます。

ケヤキには0.62(0.47〜0.84)という数字もあり、

産地や木目の緻密さなどによって違ってくるかと思います。

たとえば長さ200cm×幅10cm×厚み10cmの欅の場合

200(cm)×10(cm)×10(cm)= 体積は20000cm3で、

比重が0.6とすると、20000×0.6÷1000=12kgとなります。

参考までに他の比重を書いてみると(含水率15%のほぼ気乾状態の場合)、

松の比重 0.54〜0.57

杉 0.4ぐらい

ヒノキ 0.4ぐらい

ケヤキ 0.62

桐 0.29

となります。

その他木材で覚えておきたい内容は、

芯持ち材

芯材を中心に製材した(樹心を持った)材を芯持ち材(心持ち材)、樹心を持たない材を

芯去り材(心去り材)といいます。芯持ち材は、四面が板目で節も出ますが、

強度があり、過重のかかる場所に使います。心去り材は、乾燥しても割れが入りにくく、

柾目の面が美しいので、見栄えの大切な場所に使います。

柾目と板目

木取り(製材)の仕方によって、板の表面に年輪が柾目や板目になって現れます。

年輪に対して直角に挽いた面を柾目といいます。木目がまっすぐな縦縞になります。

板目は、年輪に接する方向に切るので、木目は山形や等高線形の不規則なものとなります。

木表と木裏

樹皮に近い側を木表、樹心に近い側を木裏といいます。柾目板には、

木表木裏がほとんどないため割れにくく、狂いにくいといわれています。

一方、板目板は木表と木裏がはっきりしており、乾燥すると木表側に反る傾向があります。

天井や床に板を張る場合は、表面に木表が出るように使うのが一般的です。



節には生節と、死節があります。枝が生きたまま包み込まれたのが生節で、

木目に溶け込んでいます。枝が枯れてから包み込まれたのは死節といいポロリと

抜け落ちることがあります。その場合は木片を埋めて補修します。

木材は、全く節の無い材は「無節」といい高級品として珍重されますが、

節があっても強度が劣るわけではありませんし、価格も安くなります。

木に枝があるのが当たり前であれば、木材に節があるのも当たり前の話です。

調湿機能

木材は周囲の湿度に反応して、空気中の水分を吸い込んだり吐き出したりしています。

つまり、梅雨時のように湿気が多い時は、空気中の水分をとり込み、

逆に空気が乾燥している冬は、木材内の水分が飛び出していきます。

木材の持つ優れた調湿機能を発揮させるためには、構造材を覆い隠す大壁構造ではなく、

構造材があらわしのままの真壁構造の方が良いといわれています。

ヤニ

樹木がヤニを出すのは自分自身の身を守るためです。

ですから雨の多い土地に育つ木ほどヤニが多いといわれています。

ヤニが多いことで知られる松は、材に粘りがあり、強度もあります。